永遠の旅人、ケヴィン・エアーズの素敵な世界

今夜のBGM・・・ KEVIN AYERS / JOY OF A TOY
ジャケットさながら、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような素敵なアルバム。
ケヴィン・エアーズ、このひとは根っからのボヘミアンで、団体行動が苦手な人(笑)。バンドを結成してもすぐにツアーに耐えられなくなって脱退、んでもって彼女とイビザ島に逃避したり、アフリカやらを放浪したりしてるうちに、また音楽をやりたくなってカムバック、というようなことを繰り返しているのですが、その度に昔の友人やらが全面的にバックアップしてくれるという、ナイスなやつ。
何か放っておけないような魅力があるんでしょうね。ルックス的にも、人懐っこいというか、2枚目半というか、男でもつい声をかけたくなるようなタイプであります。
王子様風の格好でバラの花を手にした写真とかもありますが、どこか庶民的で微笑ましい。何より、純粋に音楽が好きなだけで、一生お金とは縁がありません、というような彼の活動そのものに、好感を覚えてしまうのです。
このアルバム「ジョイ・オブ・ア・トイ(邦題:おもちゃの歓び)」、密かに、「インリン・オブ・ジョイ・トイ」のネーミングの元ネタなのではないか?と勘ぐっているのはわたしだけでしょうか?
ソフト・マシーンを、ツアーに嫌気が差して脱退してから、イビサ島に引きこもっているうちに、ボサ・ノヴァや初期ラヴィン・スプーンフルのような穏やかな音楽に惹かれるようになり、またボードレールやランボーに影響を受けた詩を作るようになり、そんな音楽をやりたくなって、またまたロンドンへ。
「おっ、エアーズ、帰ってきたんかい!」てな感じでポンポンと話は進み、ソフト・マシーンのメンバーのバックアップも受けて発表したのがこのファースト・ソロ・アルバムです。
内容は、エアーズが元来持つ吟遊詩人的な魅力に、劇作曲家のデヴィッド・ベッドフォードの素晴らしいアレンジが結びついて、彼のアルバムの中でも傑作と呼べる仕上がりになってます。
盟友・ロバート・ワイアットはドラム入りの全曲に参加。⑤「Song For Insane Times」では、ソフト・マシーンのメンバーが全員集合。マイク・ラトリッジのキーボードが聴こえると、突然「あ、ソフト・マシーンだ。」と思ってしまうのが面白いところ。
他にも、まさにおもちゃが行列を作って行進しているようなインスト①「Joy of a Toy Continued」や、テープの回転数を変えて面白い効果を出している⑥「Stop This Train」、彼の代表曲⑧「The Lady Rachel」なんかも聴き所。
ラストの⑩「All This Crazy Gift of Time」では、彼本来の魅力であるギター弾き語りでじっくり聴かせてくれます。
エアーズの低くつぶやくようなヴォーカルを聴いていると、朝、起きれないというか(笑)、自分もどっかの島に逃げてしまいたくなります。したがって、これはわたしの中ではオフの音楽。休日以外に聴くのは危険です。明日、無事に仕事に行けるかどうか不安です(笑)。
この記事へのコメント
それにしても一番好きですこれ。
そうなんですよね~なんかどうしょうもない
気まぐれって言うか、ナイーブというか。
でもファンはみんな知ってるから大丈夫なのだ、許せる。あの声ねワイアットにしても
そうだけど何せ特徴のある、憂鬱になる声ですね(笑)エアーズじゃないけど、この間の
ソフト・マシーン記事トラバさせて
もらいます!
こんばんは~。
yoikoさんのソフト・マシーンの記事読んで、エアーズ思い出してこの記事書いてみましたが、どうでしょう?
そう、ナイーヴなんですよね。その言葉が一番彼にあってるような気がします。エアーズにしろワイアットにしろ、わかる人にはわかるけど、わからん人には説明できんっていうところがありますよね。すごーく閉鎖的なサークルだけど、それでも良いんだもんね。(開き直りっ)