マイルスからパブリック・エネミーに至る黒人レベル・ミュージックの系譜

今夜のBGM・・・ PUBLIC ENEMY / IT TAKES A NATION OF MILLIONS TO HOLD US BACK
エレクトリック・マイルスの記事を書くため、「オン・ザ・コーナー」や「アット・フィルモア」や「ダーク・メイガス」ばかり聴いていたら、頭おかしくなるところだった・・・。ぜえぜえ。カッチョイイんだけど体に毒だね。
それでマイルス聴き倒した後にムショウに聴きたくなったのがパブリック・エネミー。マイルスの後になんでHIP HOPなのかって思う方もいるかも知れませんが、彼らはある意味マイルスの正統後継者だったと思ってます。黒人のレベルミュージックの系譜としてね。マイルスも最後は「ドゥー・バップ」でHIP HOPにアプローチしてるし。ということで、彼らの代表作「パブリック・エネミーⅡ」を今日は取り上げます。

それにしてもパブリック・エネミーがHIP HOPの世界から圧倒的な破壊力をもってロックとの垣根をメリメリと壊していた1990年前後は痛快だったなあ!
グランジ・ロックの台頭に合わせ、黒人がロックをやって何が悪い?と開き直ったかのようなリヴィング・カラーやフィッシュボーン、逆にロック界からファンクやHIP HOPに接近したフェイス・ノー・モアやレッチリ、スティービー・サラス、リンボー・マニアックスなど、世は「ミクスチャー」で「ボーダーレス」な時代でした。もちろん、そんな時代の下地を築いたのがプリンスであり、さらに遡ってファンカデリックだったりスライだったりジミヘンだったりするわけですが。
今またちょっと白と黒の間に垣根が出来ちゃってるような気がします。
とにかく、そんな時代を象徴していたのがパブリック・エネミーでした。どんなロックバンドよりもカッコよかった!
当時はとにかく恐ろしいまでの音圧とノイズの轟音にビビッたものですが、今聴いてみるとそれほど情報量が詰め込まれているようには感じず、曲によっては牧歌的に聴こえる時もあったりして。それでも十分にロック的な荒々しさを持ったバックトラックにのって繰り出される、ドスの効いたチャックDのアジテーションと、合いの手のように入るコミカルなフレイヴァー・フレイヴのラップとのコンビネーションは最強。
「イェーーーボイーーーーーッ!」
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こんなフィギュアも出てる。マジ欲しい・・・。
この2ndアルバムは「ブリング・ザ・ノイズ」、「ドント・ビリーヴ・ザ・ハイプ」など代表曲を含み、アルバムとしての完成度も高い。個人的にはフレイヴァーが大活躍する④「コールド・ランピン・ウィズ・フレイヴァ」が大好き。ターミネーターXによる変幻自在のバックトラックも快感。
英語わかんないし、もちろん歌詞カード読めば意味は伝わるけど、アメリカの黒人たちが抱えてる問題や不満までリアルに伝わるわけがない。でも、うまくいかない時やムシャクシャする時にやり場のない怒りを音楽で発散させるのは洋の東西を問わず。最高のレベル・ミュージックで踊りまくってマインドと肉体を解放するのだ!
黒人によるレベルミュージックの系譜
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マイルスの音楽もそうだが、このサントラの主人公、ボクサーのジャック・ジョンソンこそが反逆のシンボル!
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元祖レベルミュージック、フロムジャマイカ。反抗の歌ばかりを集めたオムニバス。
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筋金入りのミュージック・ファイター、アフリカ代表。政府に家を燃やされたり、家族を狙われたり・・・。当然その音楽は熱い!
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反逆のジャズ・ソウル・ポエット。静かに熱く燃える。
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JB’sを大ネタに使った⑪もド迫力!
この記事へのコメント
フィギア・・・欲しい、ジョーダンはいているし。キャップは、ブルズかなぁ~
やっぱり、宗教的な事や、その地域のリアルな事までは伝わらないでしょうね、同感です。
そうかマイルスか。イン・ア・サイレント・ウエイ好きです。エレクトリックで唯一持ってる1枚ですが。
ピーター・バラカン氏がデッドやオールマンに通ずる浮遊感って言ってました。
どもです!
「オン・ザ・コーナー」はエレキ・マイルスの中でも比較的よく聴く1枚です。重たくないですからね。継ぎはぎだらけのダンス・ミュージック。踊るとゾンビ・ダンスになるという(笑)。改めて記事にします!
こんばんは!
デッドやオールマンを聴く感覚でマイルスを聴くというのはとっても好きです。「イン・ア・サイレント~」は他のどのマイルスのアルバムにも似てない独特の雰囲気があります。