「粋な男」、カエターノ・ヴェローゾの甘い歌声は何故、男をもトリコにするのか?

今夜のBGM・・・ CAETANO VELOSO / CAETANO VEROSO
ここのところ、ブラジル&ボサノヴァづいてるわたしですが、曲単位で言うとカエターノ・ヴェローゾの「ヴォセ・エ・リンダ」と「君は僕のもの」ばかりリピートして聴いていることが多い。
ああ~もう、何と言うか・・・・狂おしいくらいロマンティックで甘~いメロディと歌声、シンプルでかつ上品なアレンジ、ラブソングなのに哲学的で深遠な歌詞、まるで時が止まってしまったかの様な美しさです。何から何まで、う~ん・・・・・・・
いい。
後者はわたしが初めて買ったカエターノのアルバム、1997年の傑作「リーヴロ」に収録されてましたが、その良さがわかるようになってきたのは最近、2005年に出たコンピ盤「CAETANO LOVERS」を聴いてからです。両曲ともこのコンピレーションCDに収められています。
このアルバム、カエターノを愛する日本のアーティスト12組がそれぞれ1曲ずつ選曲するという企画盤で、ちなみに「ヴォセ・エ・リンダ」はキリンジの堀込高樹、「君は僕のもの」は坂本美雨が選曲してます。他にも、コーネリアスやゴンチチ、小野リサやアン・サリーやモンド・グロッソの大沢伸一といったメンツが選曲に参加してます。これからカエターノを聴いてみようという方には絶対オススメのアルバムです。
![]() | CAETANO LOVERS カエターノ・ヴェローゾ ユニバーサルクラシック 2005-04-27 売り上げランキング : 27604 おすすめ平均 ![]() Amazonで詳しく見る by G-Tools |
で、今日の表題に持ってきたアルバムは、カエターノのソロ名義でのデビューアルバム、1968年作品の「アレグリア・アレグリア」です。
![]() | アレグリア・アレグリア カエターノ・ヴェローゾ ユニバーサルインターナショナル 1998-10-28 売り上げランキング : 566387 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
実は、先ほど挙げた「リーヴロ」が発表当時話題になっており、わたしも話題につられて買ったものの、当時は今ひとつ良さがわからず、それほど聴きもせずにCDラックの中に眠っていました。
その頃わたしはBECKの大ファンで、アルバム「ミューテイションズ」の中の「トロピカリア」という曲がいたく気に入っていたのですが、その曲のことをよく調べると、どうもカエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルらが60年代に起こしたブラジル音楽の革命「トロピカリア運動(トロピカリズモ)」にヒントを得たものだ、ということがわかってきました。
それからしばらくして、このアルバムがCD再発されたのですが、はっきり言ってジャケットの挑発的な若きカエターノの視線に射止められるように、ジャケ買いしてしまいました。そのものズバリ、「トロピカリア」って曲も入ってるし。
トロピカリズモとは、簡単に言うと保守的なブラジル伝統音楽の世界にロックの要素を取り込む動きだったわけですが、このカラフルなジャケットからもわかるように、かなりサイケデリックで実験的な作品となってます。①「トロピカリア」からして、伝統的なサンバのリズムをバックにサイケなストリングスが縦横無尽に飛び交う、頭クラクラするナンバー。
カエターノのロック宣言④「アレグリア・アレグリア」はもちろんサウンドもカッコイイのですが、なんといっても軍事政権に反旗を翻す強い意志表明を詩的に昇華させた素晴らしい歌詞にシビれまくりです。
最初に紹介した「CAETANO LOVERS」で聴けるような、粋なバラード・シンガーとしてのカエターノの魅力は、かたや彼の原点であるこのアルバムのような反逆精神や実験精神に裏打ちされているからこそ、余計に懐の深さを感じるし、女性だけでなく男をもトリコにする。すでに60歳を過ぎているカエターノですが、自分もこんな風に年をとっていきたいと願う1つの指標なのであります。無理ぽいけど。
![]() | ドミンゴ カエターノ・ヴェローゾ&ガル・コスタ ユニバーサルインターナショナル 2002-06-21 売り上げランキング : 234166 おすすめ平均 ![]() Amazonで詳しく見る by G-Tools |
![]() | Livro Caetano Veloso Polygram International 1999-06-01 売り上げランキング : 36405 おすすめ平均 ![]() Amazonで詳しく見る by G-Tools |
![]() | シネマ・カエターノ カエターノ・ヴェローゾ ユニバーサルインターナショナル 2000-08-09 売り上げランキング : 3073 おすすめ平均 ![]() Amazonで詳しく見る by G-Tools |
この記事へのコメント
あ、やっぱこのアルバムであってるのか…Wiki見るとよくわかんなくて。「リーヴロ」は私ももってるよー。近年のは結構買ってるんだ。「CAETANO LOVERS」は知らなかったけど、いかにもな選曲者だな~(笑)「アレグリア・アレグリア」ちゃんと持っときたくなったから買おっと。
んにゃ、記事アップしてから2年経過してコメント第一号、こちらこそどーもありがと(笑)。
最近のカエターノは粋なオジサンだよね。このアルバムは目が怖い(笑)。若い。イキってる。「ドミンゴ」まではボサノヴァだったけど、ビートルズの「サージェント・ペパーズ」聴いて衝撃受けて作ったのがこの「アレグリア~」なんだよね。ヘンなアルバムだけど何かが爆発してる。「ドミンゴ」とは全然雰囲気違うよ。