ジョージ・ハリスン映画「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」観た。

今夜のDVD・・・ GEORGE HARRISON / LIVING IN THE MATERIAL WORLD
昨年、劇場へ観にいくつもりだったのが、いつの間にやら公開が終わってて、いたしかたなくDVDの発売を待ってクリスマス前に届いていたのを今週末ようやく観終えました。
ザ・バンドの「ラスト・ワルツ」をはじめ、ボブ・ディラン「ノー・ディレクション・ホーム」、ローリング・ストーンズ「シャイン・ア・ライト」、そしてこのジョージ・ハリスン「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」と、音楽ドキュメンタリー映画の編集手腕で右に出るもののいないマーティン・スコセッシ監督作品。内容が悪かろうはずがない。
スコセッシ監督、特に最近音楽ドキュメンタリー映画比率が高くなっているようです。「ディパーテッド」で念願のオスカーを獲得して以来、趣味に走り始めた?ちなみにマイケル・ジャクソン「BAD」の素晴らしいプロモーション・ビデオもスコセッシ監督作品。
このDVDのジャケットを飾る、若き日のジョージがプールから顔を出す美しいポートレイト、その後オリヴィア・ニュートン・ジョンによって引用され・・・
さらにその後、松田聖子によって孫引きされています。。。
映画はビートルズ結成以前からソロ時代~晩年までのジョージの生涯を、本人や家族、多くの友人・知人たちへのインタビューと貴重な映像を使って時代順に追っていき、ジョージの人間性の核心へと迫っていきます。3時間半の長尺映画でDVD2枚組、映画館でも間に休憩を挟んだ2部構成で公開されました。
が、そんな長さを全く感じないほど目が離せない、面白い!
見所はあり過ぎるほどあるのですが、特に印象に残ったエリック・クラプトンの言葉。ビートルズ末期のゴタゴタしていた時期、ビートルズに入らないかと声をかけられて、本人は入りたい気持ちは山々なものの、あの4人があまりに親密過ぎてあの中には割って入れない、なんて内容の話をしていました。
特にジョン、ポール、ジョージの3人は無名時代からずーっと一緒にいるわけですからね。人気が出てからはホテルに缶詰だからオンもオフもずっと一緒。ビートルズ末期のゴタゴタはそれこそ兄弟ゲンカのようなもので、あの4人の絆の中にはちょっと割って入れへんよ、というわけです。ずっと色んなバンドに出たり入ったりしている1匹狼のクラプトンにとっては憧れであり、聖域だったんでしょうね。
目立ちたがりで皮肉屋、自己主張が強く、天才肌の長男ジョン。
音楽的才能に満ち溢れ、仕切りたがりでちゃっかり者の次男ポール。
物静かで洞察力に富み、2人の才能あふれる兄に憧れながらも嫉妬と情熱の炎を内に秘めた三男ジョージ。
ユーモアにあふれ、時に衝突する兄弟の緩衝材になっていた近所に住むいとこのリンゴ。
といった感じでしょうか(笑)。
そんな2人の兄に遠慮しつつ、自らはインド哲学を通じて精神世界へ向かっていく・・・その過程がよく描かれています。同時にビートルズ後期に自らも音楽的才能を開花させ、2人の兄に対抗する意味でも外につながりを求めて、社交的にミュージシャン仲間を増やしていく。この理由もよくわかります。
ジョージのあの目。あの真っ直ぐな眼差しで見つめられたら、男も女もイチコロです。それぐらい魅力的な目。人たらしの目といってもいいでしょう(笑)。ビートルズの4人の中で一番交友関係に恵まれていたのも間違いなくジョージでしょう。クラプトンに奥さんのパティを取られたりもしたけど、自分も外で色々やってるわけだしね(爆)。結果的にその後オリヴィアという素晴らしい人生のパートナーに迎えることができたわけだし。
精神世界を探求しながら、お城のような豪邸に暮らし、庭いじりし、趣味のレース観戦や映画作りに情熱を燃やし、素晴らしい仲間に囲まれて音楽的な復活劇を果たした後年のジョージは、58歳という短命で命を燃やし尽くしましたが、やはり幸せであったといえるのではないでしょうか。
個人的に今までやや冗長な印象が拭えなかった彼のソロ代表作「オール・シングス・マスト・パス」は、この映画を見終わった後に聴くと以前と全く違って響いてくるような気がしました。
ビートルズ末期から書きためていたジョージ渾身の楽曲群を、大勢の素晴らしいミュージシャンのバックアップを受けて、当時流行の最先端だった米南部スワンプ・ロック風のアレンジで演奏。それを名匠フィル・スペクターによる音の壁(ウォール・オブ・サウンド)でマイルドにコーティングした、前代未聞の一大ロック絵巻。
ちなみに映画の中では、そのフィル・スペクター氏のインタビューも必見。彼の狂気に満ちた表情は見逃せません。
(現在スペクターは殺人罪で収監中)
それから、DVDの特典映像で、ジョージがラヴィ・シャンカール(ジョージのシタールの師匠で、ノラ・ジョーンズのお父さんね!)とジョイントで行った1974年の北米ツアーの映像が、大所帯でまるでフランク・ザッパみたいなジャズ・ロックっぽいことになっていて、とても興味深かったです。この時のツアーって当時酷評されたらしくて、音源も映像もあまり残っていないのですが、メチャクチャかっこいいじゃないですか!
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この記事へのコメント
新年明けましておめでとうございます。 今年も宜しくお願いいたします。
そうか、このジャケがオリジナルですか。オリビアが印象強かった&美しかったから。
クイズ番組でビートルズ4人の楽器担当が出題されたmしたよ。あと言葉スターとか言う番組でジョーストラマー特集が。高嶋兄が熱く語っていたけど。
オリビアの娘もボウイの息子も容姿は普通の人ってかんじ、親が誰よりも美形なのに。
http://suzielily.a-thera.jp/
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/sekai/index.html
こちらこそ遅ればせながら、あけおめことよろです。
高嶋兄、ジョーストラマーが好きなのですか!キング・クリムゾンとかプログレ好きな人と思ってました。あ、ブリティッシュ・ロックが好きってことか。
>そうか、このジャケがオリジナルですか。オリビアが印象強かった&美しかったから。
オリビアのは顔の出し方とか水の色まで一緒なので完全に引用ですね。聖子のは微妙ですが。手が出てるし、首曲がってるし。
今時の軽音にもクラプトン好きな男子がいるんですね。意外ですが、ちょっと嬉しい。