追悼ジョージ・マイケル。亡くなって気づいた影響力

今夜のBGM・・・Ladies & Gentlemen: The Best of George Michael / George Michael
2016年の音楽界(特に洋楽)では、ボブ・ディランのノーベル賞受賞という興奮するニュースもあったが、全体的に悲しい知らせが多かったように思う。
年初めのデヴィッド・ボウイの訃報には泣いた。4月のプリンスの訃報には、マジで落ち込んだ。
他にも、グレン・フライ、モーリス・ホワイト、レオン・ラッセル、ジョージ・マーティン、Pファンクのバーニー・ウォーレル、デッド・オア・アライヴのピート・バーンズ、ELPのキース・エマーソン&グレッグ・レイク・・・日本では冨田勲にブンブンサテライツの川島道行、L⇔Rの黒沢健一まで・・・若いのに。
大好きな、あるいはかつて好きだったアーティストたちが次から次へと旅立った。なんて年だ!って思っていたら、最後の最後に飛び込んできたまさかのジョージ・マイケル死去。。。そして昨日なんとスター・ウォーズのキャリー・フィッシャーまで・・・。この連続攻撃には思ってたよりも遥かに大きく動揺している自分がいます。
キャリー・フィッシャーについてはミュージシャンではないので・・・とはいっても彼女はミュージシャンにゆかりの深い人物ではありますが・・・想いを綴るのは別の機会に譲るとして。
クリスマスにジョージ・マイケルが亡くなったというニュースを聞いて、まずは久しぶりにその名を聞いたような気がして驚いたのと、まさかクリスマスに、「ラスト・クリスマス」の彼が・・・という出来過ぎた話に、最初ネタかと思ったぐらい現実味が沸きませんでした。
しかし徐々に、ボディーブロウのように、俺ってこんなにジョージ・マイケル好きだったっけ?と思うほど悲しくなってきて、ジワジワと心を蝕み・・・ワム!やソロの曲を聴きながら涙に暮れてここ数日を送っているのです。
思えば洋楽を本格的に聴き始めたのは1983年から1984年にかけて。小学6年生から中学1年生に上がる頃でした。
従兄の影響もあり、周囲の友達よりちょっと背伸びしたい年頃。MTVの放送が日本でも始まり、「ベスト・ヒットUSA」を夜中まで起きて毎週見て。
そこで気になったヒット曲をチェックして、週末に自転車で30分ぐらいかかるレンタルレコード屋まで行き、シングル盤をまとめて借りてきて、カセットテープにダビングし、当日返しに行く。
これに毎月小遣いのほとんどを注ぎ込んでいました。
そのうち借りるのはアルバム中心になって、シングル曲はFMラジオでエアチェックするという技を覚えるんだけど。
ちょうどその頃、デヴィッド・ボウイは「レッツ・ダンス」、プリンスは「パープル・レイン」というメガヒットアルバムを出していました。
ボウイはすでにキャリア十数年の大ベテラン、プリンスはデビューから5、6年ほどで新進気鋭、まさに大ブレイク中。
中1のガキにとっては、ボウイは大人過ぎるし、プリンスは過激すぎました。もちろん数年後にはどちらも大好きになっているんだけど。
そんな中、数少ない洋楽仲間のクラスメイトから「これいいよ」といって渡されたのが、ワム!のデビューアルバム「ファンタスティック」のカセットテープでした。
さっそくダブルカセットデッキ(懐かしい)でダビングし、毎日のように聴きまくりました。ボウイやプリンスにはまだ早かったけど、ワム!はポップで聴きやすく、中学生の身の丈にあった印象。
その頃、「バッド・ボーイズ」がヒットしてマクセルのカセットテープ(確かUDⅡ)のCMに使われていたんじゃなかったかな?近所のお兄さん的なルックスも親近感が湧きました。
「バッド・ボーイズ」がヒットした後で、デュラン・デュランが「ワイルド・ボーイズ」という曲を出したんで、友達と「パクった」なんて騒いだり。この頃、洋楽入門者の中学生の間では、ワム!、カルチャー・クラブ、デュラン・デュランが御三家だったように思います。
しばらくして出た2ndアルバム「メイク・イット・ビッグ」も良かった。この辺からワム!の人気もワールドワイドになっていきました。邦題も懐かしい「ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ」も、続く「フリーダム」も大ヒット。のちに小沢健二が「ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ」にインスパイアされて「痛快ウキウキ通り」を書いたってのは結構有名な話。
これはだいぶ後になって気付いたんですが、中学生だった私に「ブラック・ミュージック」の魅力を教えてくれたのは実はワム!だったんだと思います。当時はブラックだなんて意識はもちろん無く、普通に白人のポップスだと思って聴いてたんですが・・・。
「ファンタスティック」の収録曲の中で「ラブ・マシーン」という曲が一番好きだったんですが、当時はワム!のオリジナルと思ってましたが実はモータウンのコーラス・グループ、ミラクルズのカヴァーだったんですね。「ワム・ラップ」なんてそもそもラップだし。同じく「メイク・イット・ビッグ」に入ってた「イフ・ユー・ワー・ゼアー」がアイズレー・ブラザーズのカヴァーだったり。「エブリシング・シー・ウォンツ」なんてメチャ黒い。
カルチャー・クラブもそうだけど、当時のイギリスではニューウェイブ以降、ソウル・ミュージックが一つのトレンドを形成していて、ワム!もその流れから出てきたデュオだったんですね。他にもポール・ヤングとか、スタイル・カウンシルとか、シンプリー・レッドとかみな黒い。そんな中で一番キャッチーでわかりやすく黒人音楽の楽しさを伝えていたのがワム!だったんです。
その後、「ラスト・クリスマス」やソロ名義で「ケアレス・ウィスパー」(西城秀樹と郷ひろみがカヴァー!)などの名曲を残して、ワム!は人気絶頂時に解散。といっても相方のアンドリューはほとんど何もしていなかったから、実質ジョージのソロプロジェクトだったわけですが。
以後、本格的にソロ活動を開始して、よりブラック度を高めていきます。今聴いても、ファーストソロアルバム「FAITH」は凄いアルバムです。たぶん当時全盛期でやりたい放題だったプリンスの影響を相当受けているはず。天才が天才の才能を引き出したというか。シンガーとしてだけでなく、ソングライターとしてもこの辺りまでのジョージの才能は神ってます。
今思うと、彼は本名見てもわかるように、キプロス移民というからギリシャ系で、そっちの血のせいか歌声に独特の哀愁がある。もちろん歌唱力は超絶クラスです。
その超絶歌唱力が存分に味わえるのが、クイーンのフレディ・マーキュリー追悼コンサート。すでに伝説ですね。ここでの「愛にすべてを」の熱唱は多くのクイーンファンを感動させ、「フレディ亡き後のクイーンに加入するのは彼しかいない!」との声が多く上がりました。
個人的には、クイーンのヴォーカルはフレディ以外に考えられないのでどうかなと思いますが、少なくともアダム・ランバートよりはいいかな。ポール・ロジャースは論外。合わんでしょ。
フレディはペルシャ系インド人の移民で、それがあのエキゾチックでオリエントな独特の歌声とメロディに反映されていると思います。そういう意味ではギリシャ系のジョージとはオリエントなつながりが少しあるのかも。
そのフレディのいる場所にジョージも召されてしまいました。同じく追悼コンサートで、フレディとデュエットした「アンダー・プレッシャー」を歌ったデヴィッド・ボウイも、またジョージに強い影響を与えたプリンスも今年天国へ。
今頃あちらでジャムセッションでも楽しんでいるのでしょうか。天国フェスのメンバーがどんどん豪華になっていきますが、残されたこちらとしてはやりきれない気持ちでいっぱいです。2016年、本当に忘れられない1年になりそうです。
Fantastic | |
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この記事へのコメント
ジョージ・マイケル急逝のためか、自分のBLOGでも昔書いたワム!の記事の人気が急上昇しています。
自分は当然ジョージ・マイケルもワム!も聴いてなかったので語る資格もありませんが、それでもカナさんが挙げられたヒット曲はだいたい覚えています。
それほど当時街中に流れていたんでしょうね。
またご指摘のとおり名曲「Somebody To Love」を歌い上げる歌唱力は素晴らしかったと思います。
あのままクイーンの二代目ボーカルとして定着するのかなとも思ってましたが・・
ビッグネームの相次ぐ訃報、聴いてない自分でもやはり残念に思います。
ワム!は有名曲しかしらないのですが、ジョージ・マイケルのファーストアルバム「FAITH」は愛聴していました。タイトルトラックもかっこいい。
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