「音響」の時代のポップミュージック。ジェイムス・ブレイク。

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音楽の3大要素は「リズム」・「メロディ」・「ハーモニー」とよく言われますが、

ポップミュージックの世界では、1980年代ぐらいまでで

その基本の組み合わせパターンはあらかた出尽くしてしまったように思います。

そのため1990年代以降、ヒップホップなど過去の作品をサンプリングする手法や、

テクノロジーの進歩によるテクノが隆盛したのは必然で、

それらの新しい要素と交じり合ってポップミュージックは延命してきました。

そんな中で注目されてきたのが、「リズム」・「メロディ」・「ハーモニー」に続く第4の要素、「音響」です。

その字のごとく「音の響き」。

それまでもフィル・スペクターのように音響に異常にこだわる人はいましたが、

それはどちらかというとプロデューサーの仕事で、

ミュージシャンの本懐はあくまでもいい曲を書くこと、いい演奏をすること、だったと思います。

しかし90年代以降のテクノロジーの進化で、パソコン1台あれば音楽が作れるような環境になり、

ミュージシャンとプロデューサーの垣根は限りなく薄くなりました。

すでに出尽くしたリズム、メロディ、ハーモニーの組み合わせだけではなかなか勝負できず、

ミュージシャンに求められるものが、ソングライティングや楽器の腕前よりも、

アイディアやセンス、また過去のいい音楽をどれだけ知っているかのストック量に変化していきました。

そこで俄然クローズアップされてきたのが「音響」です。

今から約10年前にこのジェイムス・ブレイクの1stを初めて聴いた時、

ついに「音響」がメインストリームになる時代が来たか、とかなり衝撃を受けました。

今ではそのあまりの「音響」の良さに、すっかりオーディオ・チェック用のアルバムになっています(笑)。

低音の音像がエグい。

もちろん、「音響」だけでなくリズムもメロディもハーモニーも面白い。

でもこのアーティストにとって一番重要なのは音響な気がします。

抑え目の音量でこのアルバムを流して部屋を暗くしベッドに入ると、いつも心地よい睡眠が迎えに来てくれます。






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